第3回:読書感想文

blog_26_8.png 膝小僧

久々に本屋に行きました、そこで出会った本の感想文を共有します。

知っているけど知らない物語。

本には、数多くの名作があります。

名の知れた名作のほとんどを、

私は手に取って読んだことがありません。

本屋に立ち寄った私は、

ある一つの名作と目が合いました。

その物語のタイトルを見た瞬間、「ああ、あれか」と思いました。

不思議なもので、知っている名前や身近なものほど、

中身を一から最後まで丁寧に触れ、向き合うことが、

多くの人は、ないと思います。

1+1がなぜ2になるのか、

卵がなぜ目玉焼きになるのか、

なぜ、夕食を食べてたらヨネスケが来るのか、

私にとってその本もそんな存在でした。

読み始めると、主人公はごく普通の生活を送る人物として登場します。

しかし、

ある日を境に非日常へと足を踏み入れます。

私はその展開を読んでいて、

スマホでYoutubeショートを開いた時のことを思い出しました。

「五分だけ見よ」

そう決めていたはずなのに、気づけば一時間が経っている。

時計を見て驚き、

「え、え、もう19時じゃん」

となることがあります。

スマホの左上に時刻が表示されているにも関わらず、

この醜態、

夜中スマホを探すために、

スマホのライトを使うくらいの、

腑抜けっぷりです。

この物語の主人公にも、少し似たところがありました。

楽しい時間ほどあっという間に過ぎてしまう。

ネトフリでウシジマ君を一気見する時間や

楽しみにしていたプリンも、

始まる前は長く感じるのに終わる時は一瞬です。

プリンはそもそも一瞬でした。

この物語の中で描かれる魔法の世界は、

美しく、魅力的で、現実の悩みを忘れさせてくれるような場所でした。

だから私は読みながら、

「帰りたくなくなる気持ちも分かるな」と思いました。

連休最終日に、次の連休を調べたことがある人なら、

きっと共感できるはずです。

しかし、

この物語で私の心を動かしたのは、

その後でした。

主人公は我に返り、再び元いた場所へ帰ることを決断します。

「おいおい、残ればいいやん」

と悪魔のささやきをついしてしまった束の間、

元いた場所に主人公が着くと、

主人公の家族、友人が誰一人居なかったのです。

私はその場面を読んでいて、

高校時代に熱中したゲームを少し前に開いたことを思い出しました。

仲の良かったプレイヤーは、もういません。

たしかに探しました。

向かいのホーム、

路地裏の窓、

こんなとこにいるはずもないのに。

たった数年なのに、別の世界に来てしまったような感覚です。

主人公が味わった喪失感は、

もちろんそれよりはるかに大きなものでしたが、

「取り残される」という感覚にはどこか、

首がもげるくらい、頷けるものがありました。

そして物語の最後で、私はあることに気づきました。

主人公を苦しめたのは、

「箱」ではなかったのです。

不思議な「魔法の世界」でもありません。

はたまた「時間」でもありません。

本当に主人公を苦しめたのは、たった一つの言葉でした。

「決して開けてはいけない」

人は言葉に弱い生き物です。

「見ないで」と言われると見たくなる、

心の弱さ。

「悪質なメールの中のURL」を押したくなる、

リスクヘッジ。

「押すなよ」と言われると押したくなる、

お約束。

禁止には、人を引き寄せる不思議な力があります。

そう考えると、

この物語はカメと魔法の話でもあり、

現代の人間らしい話でもあったと思います。

私は、この有名な昔話のタイトルを改めて見ました。

『うらしまたろう』


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幼い頃から知っていたはずなのに、

私は初めて、

この物語を本当の意味で「読んだ」気がしました。

竜宮城や玉手箱ばかりが有名ですが、

本当に心に残ったのは人間の弱さでした。

魔法の世界で楽しんだにも関わらず、

最終的に主人公を苦しめたのは、

言葉という魔法でした。

私たちは、

もしかしたら魔法使いなのかもしれません。